2026.09.28

イベントレポート

アクセラレーションプログラム FASTAR 13th DemoDay

18社のスタートアップが虎ノ門から未来を切り拓く

「FASTAR」とは、独立行政法人 中小企業基盤整備機構が実施するアクセラレーションプログラムです。2026年8月27日、虎ノ門ヒルズフォーラムにて「FASTAR 13th DEMODAY & Business Matching」が開催されました。

第13期として選抜された18社のスタートアップが登壇し、約1年間にわたるプログラムで磨き上げられた事業計画と事業成果を発表しました。会場観覧とオンライン配信のハイブリッド形式で実施され、ピッチ終了後には登壇企業と参加者による交流会も行われました。

登壇した企業18社は以下の通りです。

1. EyeVita(創業前)
2. 共創システム研究所株式会社
3. 株式会社セルフォールド
4. ViveSpoon株式会社
5. 株式会社MycoGenome
6. 株式会社ソラマテリアル
7. NT技研工業株式会社
8. CaMaDo(創業前)
9. GOMIソリューションズ株式会社
10. タカマクロン(創業前)
11. 株式会社Path Being
12. 株式会社ミーバイオ
13. 株式会社mBiRS
14. 株式会社キャリアサバイバル
15. 株式会社GEMBA
16. blocksky株式会社
17. LOOVIC株式会社
18. 株式会社Swell

開会に先立ち、主催者である独立行政法人中小企業基盤整備機構 理事の林 隆行から挨拶がありました。

創業・スタートアップ支援部スタートアップ支援課長 加藤丈晴

「中小機構ではFASTARという事業名で、シード期、アーリーステージのスタートアップの皆様に、約1年間にわたり伴走支援を行っています。2019年度の制度開始からこれまでに200社にご利用いただき、資金調達総額は約350億円を超えています。本日は第13期の18社にご登壇いただきます。ぜひご期待いただきたいと思います」

続いて、後援者を代表して、経済産業省 中小企業庁 経営支援部 創業・新事業促進室長の武富 弘憲氏から挨拶がありました。

経済産業省 中小企業庁 経営支援部 創業・新事業促進室長 大竹 真貴氏

「さらなる成長の担い手となる、成長志向の企業の存在が不可欠です。新たな発想や優れた技術によって事業を生み出し、課題を解決していくスタートアップは、技術革新や社会実装、成長投資の先導的な担い手となることが期待されています」

また、本日の登壇企業についても「日本だけでなく、世界で通用するテーマへの挑戦が数多く見られる」とし、1年間の成果だけでなく、各社の熱意が伝わるプレゼンテーションへの期待を寄せました。

審査員は以下の5名です。

株式会社ファストトラックイニシアティブ プリンシパル 木村 紘子氏

株式会社ファストトラックイニシアティブ プリンシパル 木村 紘子氏

フェムトパートナーズ株式会社 General Partner 曽我 悠平氏

フェムトパートナーズ株式会社 General Partner 曽我 悠平氏

インクルージョン・ジャパン株式会社 代表取締役 服部 結花氏

インクルージョン・ジャパン株式会社 代表取締役 服部 結花氏

株式会社商工組合中央金庫 執行役員スタートアップ営業部長 高橋 幸一氏

株式会社商工組合中央金庫 執行役員スタートアップ営業部長 高橋 幸一氏

株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ Investment & Business Development Director 金川 暢宏氏

株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ Investment & Business Development Director 金川 暢宏氏

ピッチ

参加企業18社のピッチ内容をご紹介します。

ピッチは「ライフサイエンス/バイオテクノロジー」「クリーンテック/マテリアルテック」「AI/DX/ITサービス」の3分野に分けて行われました。各社が5分間で事業内容やこれまでの成果、今後の展望を発表し、その後、審査員から質問やコメントが寄せられました。

ライフサイエンス/バイオテクノロジー

1 EyeVita(創業前)

水野 優氏

1 EyeVita(創業前)

「防げた失明」をゼロへ。身近な内科から始める眼底診断

眼科医不足や地域偏在によって生じる「防ぐことができた失明」を減らすため、小型眼底カメラとAI診断支援プログラムを開発している。独自の光学設計と動画から眼底画像を抽出するAI技術により、眼科以外の身近な医療機関でも眼疾患を早期発見できる仕組みの実現を目指す。

2 共創システム研究所株式会社

三宅 美博氏

共創システム研究所株式会社

「歩く」をデータに。ウェアラブルで実現する次世代の歩行分析

腰と両足に装着した3つのセンサーから歩行データを取得する、ウェアラブル型の歩行分析システムを開発している。大型で高価なモーションキャプチャーに頼らず歩行を分析できる仕組みを構築し、医療機関での診断や術前・術後評価、将来的には健康診断への活用を目指す。

3 株式会社セルフォールド

山原 研一氏

株式会社セルフォールド

下肢切断以外の選択肢を。血管新生を促す新たな治療アプローチ

重症下肢虚血による下肢切断を減らすため、血管新生を促す新しい治療法を開発している。患者自身の細胞と細胞の働きを支えるスキャフォールドを組み合わせて投与することで血流改善を促し、既存治療では十分な効果が得られない患者に新たな治療選択肢を届けることを目指す。

4 ViveSpoon株式会社

亀谷 仁郁氏

ViveSpoon株式会社

治療と日常の空白を埋める、摂食症のデジタル治療支援

摂食症の治療をデジタルの力で支援する、金沢大学発のスタートアップである。通常の外来診療と診療の間にも治療を継続できる医師伴走型アプリ「SpoonDTX」を開発し、医療機関だけではカバーしきれない患者の日常生活まで支援することを目指す。

5 株式会社MycoGenome

林 修氏

株式会社MycoGenome

麹菌などの「糸状菌」を、次世代のものづくりプラットフォームへ

麹菌を代表とする糸状菌の遺伝子編集技術を基盤に、バイオものづくりに取り組んでいる。糸状菌が持つ高い分解・変換能力を活用して、地域の未利用資源を高機能成分へ変換し、資源循環と新たな産業価値の創出を目指す。

クリーンテック/マテリアルテック

6 株式会社ソラマテリアル

大里 智樹氏

株式会社ソラマテリアル

空気に浮くほど軽い。次世代産業を変える「超軽量材料」

名古屋大学発の材料系スタートアップとして、空気に浮くほど軽い超軽量材料を開発している。航空宇宙をはじめ、軽量化や断熱、遮音などが求められる幅広い産業への応用を目指し、製品開発や量産をともに進める共創パートナーを求めている。

7 NT技研工業株式会社

仲 崇志氏

NT技研工業株式会社

太陽光を「電気だけ」にしない。狭小スペースにも対応する新方式ソーラー

太陽光発電と太陽熱利用を一体化した、新しい太陽エネルギー活用技術を開発している。これまで別々に利用されてきた「発電」と「熱利用」を統合し、一般的なソーラーパネルを設置しにくい都市部の集合住宅などへの展開も目指す。

8 CaMaDo(創業前)

櫻澤 遼太氏

CaMaDo(創業前)

「大気を資源に」。空気から酸素を取り出し、工業炉の脱炭素へ

空気から酸素を濃縮する膜技術を活用し、工業炉の燃焼効率向上とCO2排出削減を目指している。既存の炉に酸素濃縮装置を追加することで導入負担を抑え、将来的には酸素だけでなく、水素や窒素などさまざまな気体の分離への展開も見据える。

9 GOMIソリューションズ株式会社

関山 一太氏

GOMIソリューションズ株式会社

「ごみ」を「資源」に。世界の廃棄物問題に挑む分散型処理システム

熱分解を利用し、廃棄物を油・炭・金属などの資源へ変換する処理装置を開発している。分別が十分に行われていない地域でも混合廃棄物を処理できることを特徴とし、ツバルをはじめとする海外市場を中心に事業を展開している。

10 タカマクロン(創業前)

相馬 正護氏

タカマクロン(創業前)

暑さにも、開花時期にも。植物ごとに最適化するバイオスティミュラント

高温や乾燥などの環境ストレスに対する植物の耐性を高める、バイオスティミュラントの研究開発を進めている。植物ごとに最適な化合物を選択できる「テーラーメイド型」のコレクションを構築するとともに、成長速度や開花時期を制御する技術への応用にも取り組む。

11 株式会社Path Being

伊藤 淳氏

株式会社Path Being

アフリカの土壌を再生し、炭素を未来へ残す

アフリカを中心に、バイオ炭を活用した農地の土壌再生とカーボンクレジット創出を組み合わせた事業を展開している。技術提供だけにとどまらず、現地に入り込んで事業運営まで担うことで、土壌劣化や食料安全保障といった課題の解決を目指す。

12 株式会社ミーバイオ

早水 建祥氏

株式会社ミーバイオ

「脱ナフサ」へ。光で切り替えるバイオものづくり

東京大学発のスタートアップとして、石油由来のナフサに依存しないバイオものづくりに取り組んでいる。微生物の増殖と物質生産を光によって切り替える独自技術を活用し、バイオマスから半導体関連素材などに使われる芳香族化合物を生産することを目指す。

AI/DX/ITサービス

13 株式会社mBiRS

森川 友博氏

株式会社mBiRS

地面の下を「見える化」。地下インフラ管理を現場から変える

水道管やガス管など、地中に埋設されたインフラ情報をスマートフォン上で可視化する「ジオマッパー」を開発している。その場で地下設備を確認し、検索・記録・問い合わせまで完結できる仕組みにより、自治体やインフラ事業者の業務効率化を目指す。

14 株式会社キャリアサバイバル

松岡 大介氏

株式会社キャリアサバイバル

町工場の技術を、次の世代へ。「技能伝承」をデータ化する

製造業における熟練者の技能やノウハウを可視化し、次世代へ継承するためのサービスを開発している。作業動画から工程や所要時間を分析・データ化し、将来的には蓄積された技能データをロボットやフィジカルAIへ活用することも目指す。

15 株式会社GEMBA

藤井 聡史氏

株式会社GEMBA

DXの主役は「現場の人」。工場を地図から直感的に改善する

工場のレイアウト図上に現場の課題や改善活動をマッピングする、製造現場特化型のDXツールを開発している。現場で働く人が「どこで何が起きているのか」を直感的に把握できるUXを重視し、現場起点での業務改善とデータ活用を進める。

16 blocksky株式会社

三浦 光氏

blocksky株式会社

AIに「選ばれる企業」へ。生成AI時代の検索対策を支援

生成AIやAI検索において、自社がどのように認識・紹介されているかを分析する「SEOAI」を開発している。複数のAIを横断してWebサイトを解析し、改善提案から再計測までを行うことで、従来のSEOとは異なるAI検索時代の情報発信を支援する。

17 LOOVIC株式会社

山中 享氏

LOOVIC株式会社

人の「教え方」を、その場所に残す。15秒から始まる空間タスク

熟練者の指示や判断を、写真や音声とともに作業する空間へ残す仕組みを開発している。紙や動画のマニュアルでは伝えにくい「その場所で何を見て、どう判断するのか」を共有することで、製造業や訪問介護などにおける技能伝承を支援する。

18 株式会社Swell

青波 美智氏

株式会社Swell

「好き」から英語を学び、先生の負担も軽くする「TypeGO」

生徒が自分の興味のあるテーマを入口に英語を学べる、公教育向けサービス「TypeGO」を開発している。自由な学習体験を提供しながら、裏側では学習指導要領や評価と連動させることで、教員の評価・管理業務の負担軽減も目指す。

表彰式

全18社のピッチが終了した後、表彰式が行われました。

今回は、5名の審査員がそれぞれ選出する賞に加え、会場とオンライン参加者による投票で決定するオーディエンス賞が発表されました。


FTI賞
受賞:株式会社ミーバイオ

FTI賞

【審査員 株式会社ファストトラックイニシアティブ プリンシパル 木村 紘子氏 コメント】
「バイオ技術によって、国としても確保が必要となるナフサ由来の原料を生産できるというところを非常に興味深く感じました。ぜひ今後も続けていただきたいと思い、選出しました」

【受賞者 株式会社ミーバイオ 代表取締役 早水 建祥氏 コメント】
「このような機会と賞をいただき、ありがとうございます。私たちは佐藤先生の素晴らしいバイオ技術を使った会社ですので、こうしたバイオ分野でも評価いただけたことを大変ありがたく、嬉しく思います。また今後も頑張ってまいります」


フェムトパートナーズ賞
受賞:株式会社キャリアサバイバル

フェムトパートナーズ賞

【審査員 フェムトパートナーズ株式会社 General Partner 曽我 悠平氏 コメント】
「今後の日本で特に必要となる製造業の技能や技術を守っていき、さらにそこからフィジカルAIへ転換していくところに、大きな将来性を感じましたので選ばせていただきました」

【受賞者 株式会社キャリアサバイバル 代表取締役 松岡 大介氏 コメント】
「このような評価をいただき、ありがとうございます。FASTARの1年間では、伴走していただいた皆様から非常に的確なアドバイスをいただき、いろいろとブラッシュアップすることができたと思っています。まだまだ技術的にも勉強しなければならないところがありますので、これをきっかけに、もっと勉強していきたいと思います」


ICJ賞
受賞:EyeVita

ICJ賞

【審査員 インクルージョン・ジャパン株式会社 代表取締役 服部 結花氏 コメント】
「目が見えなくなることは、個人の生活に対する損失も大きく、社会の損失も大きい、極めて重大な課題だと思いました。それをスタートアップの力で変えていけるのであれば、ぜひ応援したいと思い、選ばせていただきました」

【受賞者 EyeVita 水野 優氏 コメント】
「FASTARで1年間伴走支援してくださった皆様、チームのメンバー、そして臨床研究に協力してくださった患者様や病院の先生方のおかげで、本当にここまで来られたと思っています。この賞を励みに、一日でも早く社会実装して上市し、皆様に使っていただけるデバイスを作っていきたいと思っています」


商工中金賞
受賞:株式会社Path Being

商工中金賞

【審査員 株式会社商工組合中央金庫 執行役員スタートアップ営業部長 高橋 幸一氏 コメント】
「まず、ビジネスとして社会的な意義、インパクトが本当に大きいと思いました。伊藤さん自身が現地に入り込み、グローバルでしっかり戦っていることに加えて、これまでのご経歴から感じる説得力や再現性の高さも含めて、将来性しか感じませんでした」

【受賞者 株式会社Path Being 伊藤 淳氏 コメント】
「正直、アフリカや途上国での事業なので、特に商工中金さんから選んでいただけるとは思っていませんでした。本当に選んでいただき、さらに『好きです』と言っていただけたことも嬉しい限りです。皆様、本当にありがとうございました」


NTTドコモ・ベンチャーズ賞
受賞:株式会社GEMBA

NTTドコモ・ベンチャーズ賞

【審査員 株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ Investment & Business Development Director 金川 暢宏氏 コメント】
「これからフィジカルAIなどによって世の中が変わっていく中で、データやAIそのものだけでなく、どうやって現場で使っていただくかが一番重要だと思っています。UXや工場のレイアウトなど、藤井さんのご経験を生かして磨き上げていくことが、フィジカルの分野を大きく変え、日本の強みにもつながっていくと感じ、賞を贈らせていただきました」

【受賞者 株式会社GEMBA 代表取締役 藤井 聡史氏 コメント】
「このような評価をいただき、本当にありがとうございます。私は製造業の現場で十数年間育てていただき、製造現場そのものがすごく好きです。日本人のきめ細やかな五感や、ものづくりのデータを蓄積していくことは、これからAIの文脈でも非常に大切だと思っています。今後のフィジカルAIにも貢献できるよう、日本のものづくりを強くしていきたいと思います」


オーディエンス賞
受賞:株式会社ソラマテリアル

オーディエンス賞

【オーディエンス賞発表者 独立行政法人中小企業基盤整備機構 創業・スタートアップ支援部長 石井 芳明氏 コメント】
「オーディエンスの皆様が選んでくださった賞ですが、ピッチを伺っていて、圧倒的なマテリアルの強さと『こんなに軽いものがあるのか』という驚きがありました。そして、これが社会実装されたら世の中がどう変わるのかという絵まで見せていただき、夢を見させていただいたのだと思います」

【受賞者 株式会社ソラマテリアル 代表取締役 大里 智樹氏 コメント】
「このような賞をいただき、ありがとうございます。新しい材料は社会実装までに時間がかかる部分もありますが、その分、世の中に実装できたときに与えるインパクトは非常に大きいものがあります。この新しい材料で、一つでも二つでも新しい産業を立ち上げていく、製品だけでなく産業そのものを立ち上げていくきっかけになればと思っています」


18社の挑戦は、ここから次のステージへ

表彰式と記念撮影を終え、最後に独立行政法人中小企業基盤整備機構 創業・スタートアップ支援部長の石井 芳明から閉会の挨拶がありました。

石井芳明氏

石井は、ピッチを行った18社と審査員、長時間にわたってピッチを見届けた参加者へ感謝を伝えました。また、受賞した企業だけではなく、今回登壇したすべての企業について、審査の場でも高く評価されていたことを紹介しました。

「中小企業基盤整備機構では1年間伴走させていただきましたが、これを機に終わるのではなく、引き続き応援させていただきたいと思っています。今日のピッチの中でも、資金調達をしたい、顧客を開拓したい、共同事業をしたい、仲間として一緒にやりたいといった、さまざまなニーズがあったと思います。中小機構の推しスタートアップとして、皆様にもぜひ応援していただければと思います」

閉会後には、会場隣接のスペースで登壇企業と観覧者のネットワーキングを目的とした交流会が行われました。登壇企業と投資家、事業会社、支援機関などが情報交換を行い、ピッチで生まれた関心を次の商談や事業連携へとつなげる時間となりました。

約1年間にわたるFASTARの伴走支援の成果を発表するとともに、新たな資金、顧客、共創パートナーとの出会いの場となった「FASTAR 13th DEMODAY & Business Matching」。

18社にとって、この日はゴールではありません。

ここから、それぞれの事業がさらに社会へ広がっていくことが期待されます。